フリーランスを辞めると決めたとき、一番気が重かったのは「関係が続いていた取引先にどう伝えるか」でした。
「迷惑に思われるかも」「裏切りって思われるかな」と不安があった。
今まさに同じように悩んでいる人がいたら、参考になるかもしれないので、自分が実際に伝えた時の話を書きます。
フリーランスを辞めようと思ったきっかけ
2024年の4月にフリーランスに挑戦して10月ごろに体調を崩しました。このままではまずいと思い、非常勤で週3日勤務することにしました。その時の話はこちらから。
この時点では、まだWeb制作は続けるつもりだったし、もっと苦手な営業も頑張るつもりでした。
でも非常勤で働くと、安定してお給料をいただけることのありがたさを身をもって知りました。
そして、勤務時間が終われば仕事の連絡がほとんど来ない。
そんな携帯の通知を気にせず過ごせる生活の素晴らしさも、あらためて実感しました。
気づけばWeb制作関連のデータも「もういいかなぁ」と整理している自分がいました。
一つずつデータを消していくたびに、心の中も少しずつ気持ちがスッキリしていきました。
そんな気持ちの変化もあり、この4月にフリーランスの活動を辞めることにしました。
お世話になった方へのご連絡
A社
私がまず連絡をしたのは、A社でした。
A社とは、これまでとてもスムーズに仕事が進んでいました。
修正もたった1回だけで、それも画像差し替え程度。
レスポンスもとても早く、初稿を出して2時間後にはフィードバックが届くほど。
フリーランスとしてやり取りする中で、こんなにも心地よく仕事ができたのは、数少ない経験でした。
そんなA社に、私はこんなメッセージを送りました。
いつもお世話になっております!
今日は今後の働き方についてご報告があり、ご連絡させていただきました。
今年の1月からフリーランスとしての活動はいったん終え、兼業というかたちでお仕事を続けてまいりましたが、4月からはコーダーとしての活動自体をしばらくお休みさせていただくことにいたしました。
これまで本当にたくさんの機会をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
お声がけいただくたびに、「また頑張ろう!」という気持ちにさせてもらえて、とても励みになっていました。
またいつかタイミングが合いましたら、ぜひご一緒できれば嬉しいです!
今後のご発展を心よりお祈りしております。
このメッセージに対して、A社からは
そうなんですね!非常に残念です。
また活動再開されましたらご連絡くださいね。
いろいろとありがとうございました!
と、あたたかい返信をいただきました。
内心、「迷惑って思われるかも」とびくびくしていた自分が恥ずかしくなるくらい、
最後まで気持ちよくやりとりができたことが、本当に嬉しかったです。
たとえどんなに良い関係を築けていた相手でも、
「辞める」と伝えるのは勇気がいるもの。
でも、誠意を込めて伝えれば、
ちゃんと相手にも伝わるんだと実感しました。
B社
次にお伝えしたのは、B社でした。
B社とは、仕事だけでなくプライベートでも仲良くなり、
時々ご飯に行ったりする友人のような関係になっていました。
だからこそ、なかなか言い出せずに悩んでいました。
そんなある日、カフェでお茶をしている時に、
思い切ってこんなふうに切り出しました。
私 「Adobeのサブスク解約しました。」
B社「・・・。でもFigmaは使えるよね。」
私 「もう、Web制作辞めようと思って。」
B社「そうなんだ。そっかぁ。もう頼めないのかぁ・・・。」
正直、どう受け止められるか不安でした。
でも、少し沈黙があったあと、B社はこう言ってくれました。
去年営業してくれたから、こうやって仲良くなれたから。
営業してくれて、本当にありがとう。
営業をしていた時、私はどこか後ろめたさを感じていました。
「無理にお願いしているのでは」と思うこともありました。
でも、こうして感謝の言葉をもらえたことで、
営業することは、誰かとのご縁を作るための“第一歩”なんだと
改めて前向きに捉えることができました。
伝えるのは勇気がいったけれど、
きちんと伝えたからこそ、
感謝を伝え合える関係でいられた。
そう思える経験になりました。
C社
最後に連絡したのは、C社でした。
C社からいただいていた案件は、1サイトあたり30万円。
金額も大きく、納期にも余裕がありました。
ただ、エンドクライアントとのやりとりはすべて自分で行うスタイルで、
C社自体は基本ノータッチ。
さらに、事前に相談なくサポート期間を決められたり、支払いが遅れたりと、
小さな違和感が積み重なり、あまり良い印象は持てていませんでした。
1月の上旬、C社から新しい案件について相談がありました。
最初はお断りしたのですが、電話がかかってきて話し合い、
「4月以降なら対応できます」とお返事しました。
ただ、その後C社からの正式な連絡はなく、
4月後半になっても音沙汰はなし。
私自身も、フリーランスを続ける気持ちがだんだん薄れていたため、
積極的に状況確認をすることもありませんでした。
とはいえ、きちんと自分の方針を伝えなければ。
そう思い、気が重かったのですが連絡することに。
送ったメッセージは、こんな内容でした。
昨年はご相談いただきありがとうございました。
少しご連絡が遅くなってしまいましたが、今後の活動方針についてご連絡させていただきます。
今年の1月より兼業という形での働き方に切り替えておりましたが、4月からはコーダーとしての活動をしばらくお休みすることにいたしました。 1月に「4月以降であれば対応可能です」とお伝えしておりましたが、状況が変わってしまい、大変申し訳ございません。
また何かの形でご一緒できる機会がありましたら、とても嬉しく思います。 どうぞよろしくお願いいたします。
これに対するC社からの返信は、
ご無沙汰です。
そうなんですね!それは困った!
〇〇さんから4月以降と言われていたので先方とはそのように話を進めていました。
〇〇さんを信用していたのに...
なんとかA案件だけでもやることはできませんか?
「信用していたのに」という言葉に、心がざわつきました。
まだ案件確定の連絡もない状態、正式に契約をかわしていない段階でした。
にもかかわらず、「困った」とだけ言われることに、
どこかアンフェアさを感じました。
もちろん、C社の立場からすれば、
期待していた分、落胆もあったと思います。
ただ「信用していたのに」の後の「A案件だけでもやれませんか?」の言葉。
どんな仕事でも信頼されていないのに一緒に仕事をするのは難しい。
「無理をして引き受けるべきではない」と思いました。
そこで、気持ちを整理して、
次のように返信しました。
ご相談いただけたこと自体、とてもありがたく思っております。 ただ、新しい職場での勤務が始まり、外部で働きながら案件を受託するという働き方が、精神的にもなかなか厳しい状況となってしまいました。 無理をしてご迷惑をおかけするのは本意ではありませんので、誠に心苦しいのですが、今回はお力になることができず申し訳ありません。
ご期待に添えず恐縮ですが、ご理解いただけますと幸いです。 また別の形でお力になれる機会がありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
これに対して返ってきたのは、
あっさりとした一言。
了解しました。
仕方ありません。
身体に気をつけて新しい職場で頑張ってくださいませ。
この返信を読んだ時、少し寂しさはありました。
でも同時に、「ああ、やっぱり、ここに留まらなくてよかったんだ」と
心のどこかで納得もしていました。
たしかに金額は大きかったけれど、
信頼や対等な関係を築くには、どこか違和感のある相手だった。
そんな場所に、無理してしがみつかなくてよかった。
あらためてそう思えた出来事でした。
まとめ
こうして、私の「コーダーとしての活動」は、ひと区切りを迎えました。
1月から兼業で動きはじめたものの、
通知音がいつ鳴るか、いつ依頼が来るか——
そんな不安を常に抱えたままの日々でした。
正直、付き合いのあった会社に「辞めます」と伝える作業は、
とても精神的な負担が大きかったです。
何度も文章を打っては消し、
「どう思われるだろう」と心配にもなりました。
そんな中で、私は次の3つを心がけました。
- 嘘をつかず、できるだけ率直に伝えること
- 引き留められても無理に背負わないこと
- 返信が冷たくても、必要以上に自分を責めないこと
これらを意識して、伝えたあとは中途半端な気持ちが消えていきました。
胸の中に、すうっと風が通るような感覚。
「ああ、これで次のステップに進める」
そんな実感がわいてきました。
辞めると伝えるのは、どうしても気が重いものです。
けれど、きちんと区切りをつけることは、
相手にとっても、自分にとっても、大切なことなのだと
今回あらためて感じました。
これからまた新しい場所で、
自分なりの歩みを進めていこうと思います。
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