フリーランスを続けられなかった理由

働き方
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11年間勤めた総合病院を退職し、9ヶ月間フリーランスを経験した後、現在は非常勤職員として働いています。
その経験から感じたのは、フリーランスを続けるには「やらなきゃいけない強烈な理由」が必要だということでした。

フリーランスを目指したきっかけ

私は屋久島に行ったことをきっかけに登山にハマり、休日のたびに山へ出かけるようになりました。
しかし、週末だけでは物足りなくなり、次第にこんなことを考えるようになりました。

  • 人が少ない平日に登山したい
  • 家から20分ほどで登山口に行ける場所に住みたい
  • 週に2〜3回は山に行きたい


これらは老後であれば、実現可能です。でも体が自由なうちに「もっと登山を楽しみたい」という理由から、働く場所・時間に囚われないフリーランスという働き方に魅力を感じるようになりました。

会社員時代の登山とフリーランスへの挑戦

正職員として働いていた頃は、休日をすべて登山に費やしていました。
「せっかくの自由な時間を無駄にしたくない」という思いから、必死で登っていました。

登山をはじめたてのころは標高1,200mの景色に感動していました。

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何度も登るうちに物足りなくなり、次第に1,500m、2,000m、2,500mと、より高い山を求めるようになりました。

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一方、仕事の方も慣れてくるにつれ、業務量が増えていきました。負荷が増えるのと比例して、登る山の標高もどんどん高くなっていったように思います。


そして働き方を変えたいと思い、在宅でできるスキルを身につけ、フリーランスに挑戦しました。

会社を辞めて気づいたこと

会社員を辞めると、人間関係のストレスから解放され、苦手な上司をどう避けるか悩むこともなくなりました。
その結果、穏やかな気持ちで登山を楽しめるようになり、「もっと標高の高い山へ行きたい」「限界まで歩きたい」といった欲求も自然となくなりました。
標高300mほどのハイキングでも満足できるようになり、登山に対する「強烈な欲求」が消えたことで、「フリーランスである必要性」も感じなくなっていきました。

「足るを知る」ということ

登山を通じて、「足るを知る」ということを学びました。
日常生活では広告や情報が次々と目に入り、欲望を刺激されることが多いですが、登山をすると「雨風をしのげる家があること」「お風呂に入れること」「食事に困らないこと」——そんな当たり前のことが、いかに幸せかを実感します。
実際に、高級レストランの食事よりも、山頂で食べるカップラーメンがとてもとても美味しく感じられました。

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そんな価値観の変化もあり、「月13万円程度あれば暮らしていけるな」と思うように。
これも、フリーランスを頑張りきれなかった理由の一つかもしれません。

フリーランスを続けるには、「これをやらないと生きていけない」と思えるくらいの強い動機が必要だと痛感しました。
例えば、「1日○時間コードを書かないと指がなくなる」といった極端な理由でもない限り、モチベーションを維持するのは難しいと感じました。

仕事の本質

フリーランスと会社員、雇用形態は違えど「困っている相手を潤す」という仕事の本質は同じかと考えています。

でもこれは自分が満ち足りている状態ではないと相手を潤すことは難しく、フリーランスの時は目先の金額だけ追い求めてしまい疲弊してしまったように思います。

よく「会社員の給与は麻薬のようなもの」と言われます。
ただ、毎月決まった額が振り込まれる安心感があるからこそ、職場で嫌なことがあっても乗り越えられ困っている人の為に働けたのかと思います。

私は営業が苦手でしたが、フリーランスのときよりも、兼業でやっていたときのほうが営業を頑張れました。それは、上手くいかなくても給与という「麻薬」が心を癒してくれたから。

フリーランスになると「麻薬」はなくなり、大変なことがあっても自分で対処しなければなりません。その精神的な負担の大きさを振り返ると、「自分はまだまだメンタルが弱かった」と思わざるを得ませんでした。

働き方を見つめ直して

「現状を変えたい」という理由で、未経験からWeb業界を目指す人は多いのかなと思います。
ただ、仕事そのものが嫌なのではなく、働き方にストレスを感じているだけなのかもしれません。

私自身も、「もっと登山をしたい」と思いフリーランスを目指しましたが、実際にやってみたことで、自分にとっての「満足できる生活」が何かを知ることができました。

この経験が、同じように働き方に悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。

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