転職して3ヶ月、新しい職場で気づいた“前職の意外な良さ”

働き方

前職では、毎朝「行きたくないな」と思いながら通勤し、帰り道には「これがあと何十年も続くなんて、耐えられない」と感じていました。
勢いもありましたが、11年目にしてようやく辞める決断をしました。

そして今、新しい職場で働き始めて3ヶ月。
「あの職場にも意外と良いところがあったな」と思う瞬間がいくつかありました。

完璧な職場なんて存在しないので、どこで働いても必ず何かしら大変なことはあります。
だからこそ「その大変さが自分にとって許容できるものかどうか」が、働きやすさを左右するのではないかと感じています。

そんな気づきから、今回は前職の“意外と良かったところ”を振り返ってみようと思います。
この記事が、職場を変える勇気が出ない方の背中を、そっと押せたらうれしいです。

現在の勤務環境について

まず前提として、私が現在働いている職場の環境は以下の通りです。

  • 非常勤職員として週3日勤務
  • 一人勤務

一人で働くスタイルだからこそ、前職との違いが際立って見えてきました。

なんでも聞ける環境のありがたさ

前職では20人ほどの職員で構成された小さな組織に所属していました。
異動もなく、体育会系気質で絶対的な上下関係がある世界。

ただ、初めて担当する検査に当たったとき、先輩がすぐ隣について見てくれていました。
「こんな風にするとやりやすいよ」とか、「こんな説明をすると患者さんに伝わりやすいよ」といった、ちょっとしたアドバイスをその場で教えてくれたのを覚えています。


検査結果を見ながら「これはこのままで大丈夫」「やり直した方がいいかも」など判断の基準も共有してくれていたので、不安なく検査に臨むことができていました。

新人の頃はこの環境に助けられていたのですが、3年目くらいになると、少しずつ仕事にも慣れ、隣に人がいるのが煩わしく感じるようになっていました。

特に、やたらと細かい先輩がつくと大変。

自分ひとりでやった方が早いのに…と思うことも多く、当時は「ちょっと放っておいてくれたらいいのに」と感じていたものです。


一人職場で働くようになって、「あの時の環境はありがたかったな」と感じるようになりました。
仕事の進め方に不安があっても、相談できる相手は誰もいません。どんなにイレギュラーな状況でも、自分ひとりで判断し、対応しなければならない。
当然プレッシャーも大きく、「誰かもう一人いてくれたら…」と思う場面もたまに出てきます。


あの頃は、“何でも聞ける安心感”に、思っていた以上に守られていたんだなと思います。

クレーマー対応してくれる存在の安心感

前職には、正直できるだけ関わりたくない上司がいました。

一度目をつけられると、

「コンビニでお茶買ってこい」

「この部屋を掃除しとけ」

といった理不尽な雑用を押し付けられたり、ちょっとしたことで怒鳴られたり…。
明らかにパワハラ気質で、周囲も距離を置いていた存在でした。

でも、そんな上司がひとたびクレーム対応になると、誰よりも早く前に出ていき、上手に対応していました。

たぶん本人自身が、クレーマー気質。
だからこそ、相手のイライラのツボや着地点が見えるのかもしれません。

当時は「この人さえいなければ、平和な職場なのに…」と思っていました。
今、一人職場で全対応を担うようになって、その存在のありがたさをふと感じることがあります。

少し説明の仕方を間違えるだけで患者さんの表情が曇ってしまったり、なんとなくピリッとした空気が流れることも。そんな時、「あの上司がいたらなぁ…」と思い出すことがあります。

決して好きではなかったけれど、いてくれて助かっていた場面も、確かにあったんだなと今は思います。

クセの強い人がいる環境は刺激になる

前職には、とにかく個性豊かな人たちが揃っていました。

例えば、いつも16時を過ぎてから急に仕事スイッチが入る上司。ギリギリまでダラダラ過ごしておきながら、定時が終わる頃になると「さて、やりますか」と言い出し、しっかり残業代を稼いでいました。

一方で、終業後になると新聞を読み始めるのが日課という先輩も。当時は、残業代が自動で発生するシステムだったので、堂々としたものでした。

さらには、「自分が主役でいたい」上司もいました。自分だけ会話に入れないと誰が見てもわかるような不機嫌を振りまくタイプで、ちょっとした発言で機嫌を損ねてしまうこともありました。

今思えば、前職は仕事の場であると同時に、“人間観察”の場でもあったのかなぁと。
さまざまな価値観や行動パターンに日常的に触れていたおかげで、ちょっとのことでは動じなくなった実感があります。

今の職場は私一人。黙々と仕事をこなして、時間が来たら静かに退勤。
落ち着いた環境のありがたみを、あの頃の“混沌”が教えてくれたのかもしれません。

自分の代わりがいる安心感

前職では、体調が悪いときに当日欠勤しても、それほど問題視されることはありませんでした。
ただその一方で、有給休暇はほとんど取れない風土がありました。事前に休みを申請するのは難しいのに、突然の欠勤には「まあ仕方ないよね」という雰囲気。


当日欠勤があると配置が変わったり、少ない人数で業務を回す必要が出てくるため、結果的にそのしわ寄せが他のスタッフにいくことも多く、不満の種でもありました。

ところが今、一人体制で働いてみて気づいたのは、「当日お休みできる」というのは、実はとても恵まれた環境だったということです。


現在は自分の代わりがいないため、急な休みはもちろん、電車の遅延ですら業務に大きな影響が出てしまいます。
なので、今は1時間ほど早めに家を出て、職場近くのカフェでのんびり過ごしてから出勤するようになりました。時間に余裕があるだけで、心にも余裕が生まれるのを感じています。

思えば前職時代は、出勤時間ギリギリの5分前に職場へ滑り込むような毎日でした。朝から走ったり忘れ物をしたり、全てが綱渡り状態。
“代わりがいる”という安心感がある環境では、自分が多少コンディションを崩しても「なんとかなる」という気持ちもあり色々とギリギリでした。

でも“代わりがいない”環境では、自分が万全であることが前提。責任の重さは増しますが、その分、自分の働き方や日常を見直すきっかけにもなりました。

やっぱり今の職場の方が合っている

ここまで前職の良かったところを挙げてきましたが、やっぱり今の職場の方が私には合っていると感じています。


出勤が苦にならず、人間関係もあっさりしていて、周囲の愚痴や不満に振り回されることがない。
そんな今の環境は、精神的にとても楽で、働きやすさに直結しています。

前職にはありがたい環境や頼れる存在もありました。
でも、自分にとって本当に必要だったのは、「一人でも穏やかに働ける場所」だったのだと思います。

嫌で仕方なかった前職にも、“意外な良さ”があったことに気づけたのは、環境を変えたからこそ。
職場を変えることで、自分にとって本当に大切なものが何か、見えてくるかもしれません。

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